受け継がれるもの

昨日、十八世中村勘三郎七回忌追善

歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」の夜の部を観劇した

 

 

観劇前に、いつもとてもとてもお世話になっている

大向うの堀越一寿さんの解説を伺っているときから

私は何だか胸にぐっとくるものがあった

 

 

私が尊敬する堀越さんが慕っていらっしゃった勘三郎さん

 

勘三郎さんの生前の歌舞伎は、私は一度も目にしたことがないけれど

堀越さんが話される勘三郎さんとのエピソードから

とてもとても偉大で愛に溢れていた方だったんだな、と感じていた

 

 

 

今回の演目は

中村勘三郎さんの七回忌追善公演ということもあり、

ご子息の勘九郎さん、七之助さんはもちろん

勘三郎さんと、とても親交の深かった

人間国宝片岡仁左衛門さん、坂東玉三郎さんも出演されていた

 

 

いつもは大好きな玉三郎さんの演じる姿ばかり目で追っているけれど

今回はなぜだか、一歩ひいて舞台全体を見るような感じで拝見していた

 

 

。。。何だろう。。。上手く言えないけれど

何となく、玉三郎さんが、ご自身に対してではなく

勘九郎さん、七之助さんにスポットライトを当てさせているような

そんな感覚がした

 

 

今回の舞台ほど、

役者さん全員から、観客を含めた会場全体から

深い慈愛に満ちたあたたかさを感じられるものはなかった

 

 

吉野山」で狐忠信を演じる勘九郎さんが踊っている間

じっと勘九郎さんを見つめていた玉三郎さん

 

きっと勘三郎さんと重なるところもあるのだろう

 

まだまだ伸びしろがある勘九郎さんを

厳しくも深く、そして鋭い瞳の奥でじっと見つめていらっしゃった

 

きっと、勘九郎さんの、今は目に見えない大きな大きな可能性を

じっと観ていらっしゃったんじゃないかな、と

 

そのときの玉三郎さんのあの瞳の深さを

私は一生忘れることはないと思う

 

 

 

助六曲輪初花桜」では

もう観られない、と思っていた仁左衛門さんが助六を演じられて

揚巻を七之助さん、白酒売を勘九郎さん、その母を玉三郎さんが演じられた

 

玉三郎さんファンとしては

仁左衛門さんの助六玉三郎さんの揚巻を観たいところだけど

 

この演目は、仁左衛門さん、玉三郎さんから勘九郎さん、七之助さんへの

とてもとても大きなギフトなんだな、と感じた

 

勘三郎さんととても深い親交のある仁左衛門さん、玉三郎さんと

ご子息の勘九郎さん、七之助さん

 

ベテランのお二人から若手のお二人へ

きっと、この演目の神髄?本質?のようなものを

きちんと受け継がれるように

 

しっかりとご自身が演じられて

若手のこれからを見届けようと

 

それは紛れもない、仁左衛門さん、玉三郎さんのとても深い愛情で

それをしっかりと勘九郎さん、七之助さんが受け継がれていくんだな、と感じた

 

この演目の最後、この4名が揃って舞台に出ていらっしゃる姿を見て

きっと、勘三郎さんにとって

この上ないとても幸せなことなんじゃないかな、と想像するだけで

ひとり涙が溢れそうになっていた

 

 

彌十郎さんの、勘三郎さんへのメッセージから

演目の最後に、4名が揃われたときまで

 

至るところで、勘三郎さんがたくさんの方から愛され

そして、勘三郎さんもたくさんの方々を

そして、歌舞伎という伝統芸能を心から愛していらっしゃったことを

肌で感じる、素晴らしい舞台でした

 

 

。。。ああ、、もう、本当に生前の勘三郎さんの舞台を

生で観たかったなあ。。。

 

 

貴重な公演を、本当にありがとうございました

 

 

そして、ご縁をくださった堀越さん

お礼を言っても言い尽くせないほどですが

本当にありがとうございました